JIM臨床画像コレクション
ランブル鞭毛虫
木村 琢磨
1
,
青木 誠
1
1国立病院東京医療センター総合診療科
pp.812
発行日 2000年9月15日
Published Date 2000/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414903087
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近年,わが国では寄生虫疾患に遭遇する機会は減少しているが,輸入感染症やAIDS関連疾患などとしても重要であることはいうまでもない.
症例は53歳,男性.5日前より水様・粘液性の下痢が2~3時間おきに出現し,3日前,会社の診療所よりニューキノロン系抗菌剤,整腸剤,止痢薬を処方されるも,症状改善せず当院を受診.経過中,最高38.5℃の発熱を認めるも,血便はない.商社マンで最近1カ月間にオランダ,タイ,シンガポールへの海外渡航歴がある。周囲に同症状の者を認めない.身体所見上,異常を認めず,尿所見も正常.便培養を施行後,ホスホマイシンを開始.3日後も下痢は改善せず,白血球5.300/μl (poly 45%, band 6%, lymph 37%, mono 11% , eosino 0% , aty-lymph 1%), ESR23mm/hr, CRP0.5 mg/dl.便を鏡見したところ,便中白血球を認めず,鞭毛で活発に運動する洋梨状の微生物(表紙写真・上)を認めた.ランブル鞭毛虫(Giardia intestinalis)の栄養型虫体に特徴的な所見でありメトロニダゾールを開始.1週間後,下痢は軽快し,便の鏡見上もランブル鞭毛虫は消失した.
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