JIM臨床画像コレクション
膠原病を疑う契機となる手指・下肢の紅斑
石川 治
1
1群馬大学医学部皮膚科
pp.564
発行日 1999年6月15日
Published Date 1999/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414902759
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凍瘡(しもやけ)は冬季に小児の手足,耳介,頬などに好発する(図上左).成人凍瘡患者ではSjögren症候群あるいはエリテマトーデスを基礎疾患に有することがある.Sjögren症候群の凍瘡は臨床および組織学的に通常の凍瘡と変わるところはない.他方,エリテマトーデス患者に生じる凍瘡は「凍瘡様」と呼ぶべきで,通常の凍瘡と臨床的にも組織学的にも異なる.臨床的には手指,手背に米粒大前後の小さな紅斑が多発し,液状変性が組織学的に認められる(図上右).これらとは別に,冬に角化が顕著となり,夏には軽快するが完全には消失しない円板状エリテマトーデスの亜型がある(図上中央).
皮斑とは,網目状あるいは樹枝状に融合した紅斑で下肢に好発する.網状皮斑は主に血管の機能障害によって生じ,紅斑は網目状に融合して環を閉じる(図下左).樹枝状皮斑は主に血管炎や血栓などの器質的障害によって生じ,紅斑は環を閉じないのが特徴である(図下中央).膠原病を疑うべきは樹枝状皮斑で,触診上紅斑に一致して硬結(シコリ)を触れる.このような発疹を見た場合には,結節性動脈周囲炎,網状血管炎,皮膚アレルギー性血管炎,クリオグロブリン血症性紫斑,抗リン脂質抗体症候群などを疑う必要がある.
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