Update '98
プライマリケアでのHIV陽性者診断の重要性
新保 卓郎
1
1京都大学附属病院総合診療部
pp.373
発行日 1998年5月15日
Published Date 1998/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414902450
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近年HIVに対する有効な治療法が開発されてきた.逆転写酵素阻害剤に加えプロテアーゼインヒビターが本邦でも市販された.多剤併用療法がZidovudine単独より有効であることが示された.近年米国内での死亡率の減少も報告されている.HIV-RNA量が予後と関連することが明らかにされ,治療の必要性や治療に対する反応性を検討するのに有用である.HIV初感染時の治療ではさらに有効との考えもある.
これらの進歩は日常診療でのHIV感染症に対する診療態度に変化をもたらしうる.すなわち,有効な治療のなかった時代には「積極的に診断しても治療がない疾患」であったものが,「早期に診断すれば長期予後を改善しうる疾患」に変化してきている.また2次感染予防も重要であり,プライマリケアでの積極的な診断が必要で,見落としの影響は大きい.
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