Update '97
速効型カルシウム拮抗薬と心筋梗塞
南部 征喜
1
1兵庫県立成人病臨床研究所
pp.695
発行日 1997年8月15日
Published Date 1997/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414902231
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1995年,速効型カルシウム拮抗薬(ジヒドロピリジン系)が心筋梗塞および死亡のリスクを増やすことがPsatyら1)およびFurbergら2)によって指摘され,大変な話題となった.速効型であるため,急激な血管拡張作用による反射性の神経体液性因子の活性化によるものと理解されている,しかし,少なくとも動物実験では,カルシウム拮抗薬はアテローム硬化の初期病変の進展を抑制することが明らかにされている.
最近Bモード超音波を用いた頸動脈内・中膜の肥厚度を指標に速効型カルシウム拮抗薬(イスラジピン)と利尿薬(ヒドロクロロチアジド)とを比較した成績が報告された3).拡張期圧が90~1151mmHgを示す高血圧症で血清コレステロール値が240mg/dl以下の患者883人を無作為に2群に分け,拡張期圧が10mmHg低下し,かつ90 mmHg以下(登録時拡張期圧105~115mmHgの患者については95mmHg以下)にすることを降圧目標としたcase-control studyである.アテローム硬化の進展に対する降圧薬の効果を3年間の内・中膜肥厚の進展度を指標にすると,カルシウム拮抗薬と利尿薬とに差はないとの結論である.
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