JIM臨床画像コレクション
ペラグラの皮疹と舌の所見
浜崎 洋一郎
1
,
片山 ―朗
1
1長崎大学医学部皮膚科
pp.629
発行日 1997年8月15日
Published Date 1997/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414902208
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ペラグラはビタミンB群の主にニコチン酸欠乏により発症する疾患で,臨床症状は3Dがよく知られておりdiarrhea(下痢),dementia(痴呆)とともにイタリア語のpelle agra(荒れた皮膚)に由来するようにdermatitis(皮膚炎)を特徴とする.典型的な皮疹は露出部(顔面,頸部,前胸三角部,手足背,前腕・下腿伸側)に生じる灼熱感を伴う日光皮膚炎様の紅斑で,その後に暗赤褐色斑となり水疱,落屑,痂皮を形成し,色素沈着を来す(表紙左,右上参照).頸部に境界明瞭な首飾り状の紅斑(Casal's necklace)を見ることもある.
また,粘膜病変として口内炎,口角炎および舌炎(表紙右下参照)を認める.消化器症状は下痢,食欲不振などが通常見られ,精神・神経症状は抑うつ,不安,不眠,錯乱,幻覚,せん妄,腱反射亢進,末梢神経炎,けいれん,振戦など多彩である.検査では血中ニコチン酸の低下,血中トリプトファンの低下,尿中ニコチン酸代謝産物であるN-methylnicotinamideおよび6-pyridoneの排泄低下などの異常を認め診断の助けとなるが,実際の診療においては詳細な病歴の聴取と,ニコチン酸アミド投与による診断的治療がより有用である.(詳しくはp. 674参照)
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