JIM臨床画像コレクション
成人T細胞白血病の末梢血液像
樅田 三郎
1
,
向原 茂明
1
1国立長崎中央病院内科
pp.277
発行日 1997年4月15日
Published Date 1997/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414902115
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わが国,それも九州・沖縄に多発する特異的な細胞形態を示すT細胞型白血病に対し,高月らは1977年に成人T細胞白血病(adult T cell leukemia,以下ATL)という疾患概念を提唱した.それは,1980~81年に米国のGalloらおよび日沼らによって,ヒトT細胞白血病ウイルスI型(human T cell leukemia virus I,以下HTLV-I)が発見され,ATLの起因ウイルスであることが判明したことによって,立証された.
ATLの最も大きな特徴の1つはその細胞形態にあり,写真(表紙参照)に示すように,核に1~数個の切れ込みを有し,分葉核を呈する細胞もある.核のクロマチンは一般に濃染される.表面マーカーを検索するとT細胞(多くはCD4陽性細胞)であり,血清HTLV-I抗体が陽性であればATLでほぼ間違いない.さらに,腫瘍細胞のDNAにHTLV-IプロウイルスDNAの単クローン性の組み込みを証明すれば診断が確定する.
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