特集 こどもを上手にみるための15カ条
Appendix
小児への薬剤処方のチェックポイント
原 朋邦
1
1はらこどもクリニック
pp.1005
発行日 1996年11月15日
Published Date 1996/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414902006
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適切な薬物療法とは病状を正しく把握し,薬理学的作用を正しく理解し,それに基づいて治療をすることである.正しく診断し,病態生理を理解しているのはもちろんのこと,もし薬物療法を選択するならば,薬理作用を熟知しており,それが環境因子,遺伝因子,患者の生物学的因子,疾患と関連した因子との相互作用で修飾される可能性を知っておく必要がある.
また,医師が知識を十分に保持していても不適切な薬物療法が行われる場合が少なからずあることを承知しなければならない.不必要な薬剤,過剰の用量が処方される過剰処方は複雑な問題解決を医師が回避する場合や,可能な治療をすべて行ったことを保障したい場合である.反対の過小処方は薬物の副作用を必要以上に恐れる,薬物の効用を信じていない,自分の偏った経験を信じた場合であろう.不当な処方は患者の持つ種々の因子に配慮しない場合,多剤処方は複数の医師により処方されているのを無視したり,既に投与している薬剤に追加処方する場合などになされるといわれている.
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