特集 抗菌薬選択の基準を確立する
Key Articles
青木 眞
1
1聖路加国際病院感染症科
pp.920
発行日 1994年10月15日
Published Date 1994/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414901314
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抗菌薬使用の原則を簡単に示すものはありそうで案外と見当たらない.特に抗菌薬の開発王国とでも言うべきわが国で参考になるものは非常に少ないのである.単純に「この菌にはこの抗菌薬が効く」といった機械的なin vitroの感受性データを組み合わせるだけで治療方法を論議するには,あまりに個々の感染症患者の病態は多彩である.同じ肺炎球菌による肺炎も,個々の患者がもつ病巣の大きさ,治療開始までの時間,基礎疾患など千差万別である.
思うに日本の今までの抗菌薬の評価はあまりにもin vitroのデータに依存し過ぎており,本当の意味で臨床的な視点が疎かにされがちであったと思われる.抗菌薬使用の原則の確立はin vitroという特殊な環境における抗菌活性も考慮に入れつつ,やはり患者の病態全体をとらえたうえで初めて可能となると言える.そのような意味で正しい抗菌薬の使用には,正しい感染症の理解,起炎菌ごとに異なる感染症の病態の理解が不可欠となる.
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