特集 内科的治療か外科的治療か
コメント
「虚血性心疾患」―内科の立場から/「虚血性心疾患」―外科の立場から
早崎 和也
1
1済生会熊本病院循環器科
pp.222-223
発行日 1993年3月15日
Published Date 1993/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900768
- 有料閲覧
- 文献概要
本邦での有意狭窄病変を有する狭心症に対して,どのような治療手段がとられているのかを調べた施設統計(第4回日本冠疾患学会JCA会長:遠藤真弘)を表1に示すが,施設により考え方が全く異なる.ことに一枝病変に対しての治療手段は施設差が著しい.このような本邦での状況の中,安里論文では内科的薬物療法かPTCAか,あるいはCABGかの判断を最新の報告を混じえて掘り下げてあり有意義である.狭心症をタイプ別に解説し,薬剤の特徴もきちんと押さえてあり,「JIM」の読者にわかりやすい.ただ,一枝病変に対しての内科的療法とPTCAの比較では「PTCAのほうが予後的に良好であったとの報告がある.」で止めず,全体的な傾向を明示して欲しかった.梗塞発生のeventや生命予後に関してはむしろ差がないとする報告が多いからである.
もっとも,著者が深く踏み込んでいないのは,PTCAの歴史が浅いことと著者も述べているように,その適応は器材と技術の進歩で年々拡大しているため,明碓に予後を出し難い背景を考慮してのことであろう.
Copyright © 1993, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.