特集 腹痛を見直す
Key Articles
小泉 俊三
1
Shunzo Koizumi
1
1天理よろづ相談所病院腹部一般外科
pp.490
発行日 1991年8月15日
Published Date 1991/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900152
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急性の腹痛に関する古典
何と言っても,Zachary Copeの名著The Early Diagnosis of the Acute Abdomenに尽きる.
医学の領域では,他の自然科学分野と同じく,新しい情報を求めて新刊書が重宝されるが,この本は1921年の初版以来,英語圏の研修医にとってのバイブルである.版を重ね,最近版はWilliam Silenの監修でCope's Early Diagnosis of Acute Abdomen, 17th ed.(1987)Oxford University Press, New York.として入手可能である.実用的な医学図書でこれほど命脈を保っているというのは他に例をみない.各種画像診断が発達し,基本的な問診と診察がおろそかにされがちな今日,physical signと限られた検査手段だけで重大な決断を迫られた先人の苦労が伝わってくる本書はまさに名著と呼ぶにふさわしい.躊躇なく必読文献として勧めたい.また,監修者のWilliam Silenは,Harrison内科書の第12版(1991)のabdominal painに関する1章(105-107頁)も執筆している.腹痛診療の基本が簡潔にまとめられている.
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