シネマ解題 映画は楽しい考える糧[89]
「時計じかけのオレンジ」
浅井 篤
1
1東北大学大学院医学系研究科社会医学講座医療倫理学分野
pp.1062
発行日 2014年11月15日
Published Date 2014/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414200082
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犯罪者の矯正を考える
40年以上前に作られたとは思えない,いつ観ても斬新で新しい発見がある作品.類似作品はありません.音楽も映像も最高.衝撃は最大級.テーマはこの上なく哲学的.こういう映画を本当のクラッシックと呼ぶのでしょう.映画も薬と一緒で,新しければよいというものでは全くありませんね.キューブリックは孤高の天才映画作家で,他にも『2001年宇宙の旅』や『博士の異常な愛情』『シャイニング』等を遺しています.
アレックスは不良グループのリーダーで,セックスと暴力とベートーベンをこよなく愛する青年.強姦に集団暴行,強盗もやりたい放題.仲間にも容赦ありません.最終的には殺人まで犯してしまいました.逮捕され有罪となり刑務所に服役します.そこで模範囚として刑期を務めているとき,時の政府が先導する犯罪対策プロジェクトの存在を知りました.ルドビコ医療センターにおける実験的治療です.詳細は不明ですが特殊な処置をした上で,研究対象者に延々と強制的に超暴力的な映像を見せ続けるのです.瞬きすら許されません.
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