Editorial
医療・臨床研究のリスクオフ
伊藤 澄信
1
1国立病院機構本部総合研究センター臨床研究総括部・治験研究部
pp.329
発行日 2012年5月15日
Published Date 2012/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102482
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
健康診断の結果はなぜこんなに人を不安に陥れるのだろう.医療者にとってはたいしたことがないと思われることであっても,異常と判断された結果を受け取ると,患者さんは不安になる.不安の解消には医療者の自信に満ちた説明が最善の良薬だが,説明の根拠を知らないと医療者の返答も曖昧なものになってしまう.それがまた,患者さんの不安をかきたてる.
医療行為のリスク/ベネフィットを明確にするためには臨床研究によるエビデンスの創生が必須である.臨床試験の被験者になっていただくにはヘルシンキ宣言に基づく同意が必要だが,最近,ある大学病院で被験者に無断で手術中に研究用の骨髄を採取していたことが発覚した.被験者のリスクオフを強化する様々な規制が打ち出されている時代にもかかわらず,である.
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.