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Case
症例:31歳,男性.
主訴:四肢脱力.
現病歴:半年前から四肢脱力発作が月1回出現し,発作は朝から昼過ぎまで続いた.この頃から倦怠感も認めたため3カ月前に近医受診したが,下肢の単純X線写真を撮影し,異常ないと言われた.また同時期に行った会社の健診では,血圧高値以外に異常はなかった.しかし受診当日未明に下肢優位の筋力低下を認めたため日中に近医受診したところ,多発性硬化症疑いと診断され,2日後にMRI予約となり帰宅したが,症状改善しないため同日午後当院救急外来受診した.
既往歴:特記なし.
家族歴:母にBasedow病.
生活歴:喫煙なし,機会飲酒,内服なし(漢方含む),サプリメントや嗜好品などとくになし.
来院時身体所見:意識清明,血圧176/80mmHg,脈拍113回/分(整),体温37.2℃,SpO2 98%(室内気).頭頸部:軽度眼球突出あり,甲状腺のびまん性腫大あり・圧痛なし,甲状腺部のbruit聴取せず.胸部:収縮期雑音聴取(心尖部,Levine Ⅱ/Ⅵ).腹部:異常所見なし.四肢:末梢動脈触知良好,冷感・浮腫なし.神経:近位筋優位の筋力低下(上肢<下肢,MMT 3~4程度),感覚・脳神経Ⅱ~Ⅻ異常なし.
来院時検査所見:WBC 5,000/μl,Hb 10.3g/dl,MCV 82.1fl,Plt 20.8×104/μl,TP 6.0g/dl,AST 24IU/l,ALT 36IU/l,LDH 139IU/l,ALP 284IU/l,CK 377IU/l,BUN 11.6mg/dl,Cr 0.52mg/dl,Na 143mEq/l,K 2.0mEq/l,Cl 108mEq/l,Mg 1.4mg/dl,Glu 99mg/dl,T-chol 98mg/dl,CRP 0.03mg/dl,血清浸透圧 286mOsm,尿浸透圧 472mOsm,尿中K 12.9mEq/l,TSH≦0.005μg/dl,fT4 7.78ng/dl,fT3 27.50pg/ml,TRAb 76.3%,PRA 0.1ng/ml/h,PAC 10.0pg/ml.血液ガス分析:pH 7.445,PCO2 47.0mmHg,PO2 34.3mmHg,HCO3- 31.6mmol/l,BE 6.7mmol/l,Na 139.7mmol/l,K 3.04mmol/l,Cl 104mmol/l,AG 7.2mmol/l.
心電図:HR 112回/分,洞性頻脈,QT延長なし,V1~3陰性T波,V4~6,Ⅱ,Ⅲ,aVFのST低下あり,U波は認めず.胸部・頸部単純X線写真,頭部CT:異常なし.
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