JIM Report
緩和ケアにおけるQOL評価―IDAS(Integrated Distress-Activities score)の活用法
西 智弘
1
,
宮森 正
2
1栃木県立がんセンター腫瘍内科
2川崎市立井田病院かわさき総合ケアセンター
pp.924-928
発行日 2011年11月15日
Published Date 2011/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102343
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緩和ケアにおいては,患者さんのQuality of Life(QOL)を最大限に保つことがひとつの目標となる.緩和ケアの患者さんは,病状の進行や治療介入などによって,一日一日状態が変化するため,毎日評価を行う必要がある一方で,さまざまな苦痛により精神的に余裕がない場面や,意識障害やせん妄などの頻度も比較的高いことから,QOLを評価するために患者さんに毎日アンケートを記載してもらうのは実際には困難であることも多い.
QOL評価のツールはさまざまなものがあるが,EORTC QLQ-C301)やFACT-G2)(J1)といった患者さんによる自記式評価法では,前述したように終末期で状態が悪い時に頻回に評価するには限界がある.一方で,医療者による代理評価であるSTAS-J3)(J2)についても,一部の質問項目はQOLと関連しているものの,本来の用途はQOL評価を意図しておらず,また毎日評価するようにも作られていない.つまり,緩和ケアの現場においては「他者によって」「短時間で毎日評価可能」なツールが必要と考えられる.そのような問題点に応える形で開発されたのがIDAS(Integrated Distress-Activities score:症状・日常生活統合スコア)である4).
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