特集 Fetal Distress
Fetal Distressの一症例
北原 隆子
1
1北原助産所
pp.32-35
発行日 1972年11月1日
Published Date 1972/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204431
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
私ども開業助産婦は,常に正常妊産婦を対象として,保健指導ならびに助産を行なっているため,はじめから異常分娩を扱うケースはほとんど皆無に近いわけである。(例外全開大近い状態で飛び込んで来る早産,骨盤位分娩etc)。しかし,先ほどまで正常ルートで経過してきた産婦が,今急に異常に転じるという例は,産科領域において珍しいことではない。その時の判断,処理の良悪により,新しい生命誕生の有無が論じられるわけだが,病院助産婦と異り,開業助産婦の道は厳しいものがある。なぜなら,われわれに許されることは手以外にないからである。異常事態発生時,医師に報告しても,来院までには1〜2時間を要し,救急の役が果たされない場合がたびたび。だからといって全症例を救急車で病院に運び込むことはばかげた話である。
1刻を許されない場合,また正しい判断と監視が効ある場合と,それぞれの良否が問われる。そしてさらに,開業助産婦には,その手1つに母児の命が託され,その重責を立派にしかも十分果たさなければならないことである。多くの体験と,そしてより聡明な頭脳と高度の技術が要求されるわけである。
Copyright © 1972, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.