特集 EBMアップデート
総論
EBM 考え方と手順
南郷 栄秀
1
1東京北社会保険病院 総合診療科
キーワード:
5つのstep
,
PICO
,
真のアウトカム
,
批判的吟味
,
内的妥当性
,
適用可能性
Keyword:
5つのstep
,
PICO
,
真のアウトカム
,
批判的吟味
,
内的妥当性
,
適用可能性
pp.544-547
発行日 2011年7月15日
Published Date 2011/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102226
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はじめに,誤解を正したい
EBMの概要について解説する前に,EBMに関して頻繁にみられる誤解を正しておきたい.その誤解とは,「EBMとエビデンスの混同」である.しばしば,エビデンスがあるからこうすべきだとか,エビデンスがないからそれをしてはいけないといった主張が聞かれるが,これらは誤りである.EBMとエビデンスはまったく別のものであり,エビデンスにのみ従って診療をするのでは,EBMを実践しているとは言えない.
また,巷で売られている書籍のタイトルにも,このような混同が見受けられる.たとえば「EBMに基づいた○○の診療ガイドライン」などというタイトルにはピンと来てほしいのだが,「EBM」は「Evidence-based Medicine」の略であり,邦訳は「エビデンスに基づいた医療」である.したがって,「EBMに基づいた○○の診療ガイドライン」は「エビデンスに基づいた医療に基づいた○○の診療ガイドライン」となり,日本語として意味をなさない.とくに,偉くて多忙な先生ほどEBMを語感だけで理解している傾向が強く,医療界に影響力が強いこともあって,こういった誤解を広める結果となっている.そこでこの稿の読者の方々には,次の重要な事実を確認したい.
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