構造と診断 ゼロからの診断学・3
正しい診断
岩田 健太郎
1
1神戸大学医学部感染症内科
pp.460-465
発行日 2010年6月15日
Published Date 2010/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101939
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正しい診断とは何か
■診断学,とは「正しく」診断するための方法論を検証することにある.
■しかし,そもそも「正しい」診断とはいったい何だろうか.
■診断,とはある現象に名前をつけることである.「見立て」と読んでもよい.
■疾患とは人間が恣意的に命名した現象に名前をつけることで初めて認識される.認識されないうちは,それは疾患ではない.疾患は人間が「それを疾患と呼びましょう」とコンセンサスを得た後に,疾患となるのである.コンセンサスを得るまではその現象は疾患ではない.
■だから,疾患は実在物ではなく,あくまで恣意的に命名された現象に過ぎない.その現象を正しく認識できることが「正しい診断」である.正しい病名をつけることでは,ない.
■そういう意味では,原理的には漢方診療と西洋医学的な診療において,診断の原則は何ら変わりはない.漢方においては「証」という現象に名前をつけている.西洋医学では,現象に「疾患名」という名前をつけている.ただそれだけの違いであり,両者の構造には何ら差異はない.
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