今月の言葉
正しい言葉
足立 春雄
1
1大阪逓信病院産婦人科
pp.5
発行日 1960年7月1日
Published Date 1960/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201934
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5月5日と云えば端午の節句である.終戦後は子供の日と呼ぶ様になつたが,言葉も時代につれて変つて行くものである.子供の日や母の日があるのに何故,父の日が無いのかと文句を云つても仕方がない.変つたものにはすなおについて行くべきであろう.学術用語についても又同じ事である.いま時「会陰破裂」とか「葡萄状鬼胎」などと云えば笑われる.
終戦を契機にして色々の大変革が起つたけれど,我々の身近の事では何と云つても助産婦や看護婦の地位の向上もその一つである.その為に悲喜交々至ると云うような出来事もないではないが,助産婦,看護婦諸姉の学問に対する意欲も益々旺盛となり,種々の講習会や研究会が盛に行われるようになつた事は実に結構な事である.しかし如何に研究の成績や発表の内容が立派なものであつたとしても,之を云い現わす為に使われる言葉が正しくないと内容の精彩は一度に半減してしまう事を忘れてはならない.言葉を正しく使う為には,正しい言葉を知ると云う事が先決問題である.その為には本を読む事が一番近道であると思う.本誌の様な専門雑誌を常に座右において暇のある度に目を通す事が肝要である.
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