シネマ解題 映画は楽しい考える糧[25]
「CODE46」
浅井 篤
1
1熊本大学大学院医学薬学研究部生命倫理学分野
pp.565
発行日 2009年7月15日
Published Date 2009/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101738
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国家による個人へのパターナリズム
そう遠くない未来の上海を舞台にした,CGも特殊撮影もほとんどない作品.映像的には現代でも通る映画ですが,スクリーンのなかで展開するドラマはきわめてSF的で,生命・医療倫理的問題が満載の物語に仕上がっています.
全体主義的管理社会らしい設定のもと,ウィリアム・ゲルドという妻子ある男が,パペルと呼ばれる「滞在許可証」偽造事件を調査するために上海の街に派遣されました.彼は人間の共感能力(?)を高め相手の考えていることがわかるようになる「共感ウイルス」を仕事のために自分に感染させ,不正行為を行っている犯人を探し出すのです.彼はパペル製作工場での面接で瞬時にマリア・ゴンザレスという若い女性が犯人だと突き止めますが,なぜかその事実を上司に報告せずほかの男を犯人だと指摘しました.そしてその夜,ウィリアムとマリアはなぜか惹かれあい一夜をともにします.
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