皮フ科医直伝8―よくあるトラブルと対処法
それでも疥癬は生き続ける―この国から疥癬が絶滅しないわけ
中村 健一
1
Kenichi Nakamura
1
1おゆみの皮フ科医院
pp.645-648
発行日 2004年8月1日
Published Date 2004/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100994
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「ギャー,疥癬だ」
老人ホーム入居中の患者を診察室で「疥癬」と診断すると,付き添ってきた職員が戦慄する.
「施設のかかりつけ医はそんなこと言ってなかったです.ショック!」「先生,隔離ですね」「床はすぐ消毒します」「お風呂は最後にします」「ショートステイ(短期入所)なので早めに帰っていただきます」
まるで重症伝染病扱いである.なるほど,疥癬は老人ホームや保育園など集団生活の場で“流行”し,ひとたび発見されると大問題となる.かかりつけの医師,つまり読者のみなさんには,施設管理者から多くの質問が寄せられることになる.即座に答えられると実にかっこよい.
ところが疥癬のことが全く頭にないと,とんでもないトラブルに巻き込まれ,さらには老人福祉施設などの患者,職員との信頼関係がすべて崩れてしまうので要注意.福祉関係者から見放されたら,医院経営上由々しき問題である
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