交見室
慢性前立腺炎再考/徳中荘平先生の「Cecoureteroceleについての一考察」に対する私の考え
荒木 徹
1
1あらき腎・泌尿器科クリニック
pp.888-889
発行日 1998年10月20日
Published Date 1998/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413904478
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- 文献概要
慢性前立腺炎(CP)は原因多彩な症候群です。以下,便宜上Drachらの分類(1978)で話を進めますが,CPの中,問題点は非細菌性慢性前立腺炎(NBP)とprostatodynia(PD)です。以前に私は,この2つは感染症以外の原因を考えるべきである,との私見を本欄で述べました(臨泌47:90-91,1993)。本年4月鹿児島で開催された第84回日本泌尿器科学会総会では,シンポジウム「前立腺炎様症候群へのアプローチはここまで進んだ」が行われました。NBP, PDに関する発表・討論の大半が「感染以外の原因を見逃さないことが大切」としながらも,実際の診療では抗生剤投与に拘泥されている様子に,私はいささか落胆しました。
私は上記の私見掲載以降,NBPとPDの治療はこれを感染症ととらえている限り進展はない,かつ両者は同一疾患ないし症候群であり,EPS中白血球数で分別する意義はない,と認識して診療しております。現にCampbell’s Urology第7版(1998)ではMearesが「この両者は感染症ではない」としていますし,本邦にも池内らの一連の報告や名出の秀れた総説(日泌尿会誌84:1993)などがあります。私は再度,自らの診療体験に基づく実感的根拠を挙げて先生方のご批判を仰ぎたいと思います。
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