交見室
慢性前立腺炎考,他
荒木 徹
1
1倉敷成人病センター
pp.90-92
発行日 1993年1月20日
Published Date 1993/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413900785
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慢性前立腺炎(以下CP)は悩ましい疾患である。泌尿器科医は大抵一人や二人の難治または再燃,再発を繰り返すCP患者を抱えているであろう。筆者は数年来,CP,特に非細菌性CPとprostatodyniaの診断と治療に関して,幾つかの疑問を抱いている。それらを記して先生がたの御批判を仰ぎたいと思う。
第一点は非細菌性CPは果たして感染症,炎症なのか,という疑問である。現在,CPの診断はDrachらの基準(J Urol 120:266, 1978)に従って細菌性,非細菌性,prostatodyniaの3つに分類するのが一般である。以下,本稿もこの診断基準による診断名で話を進める。彼らの診断基準はきわめて明快であるが,問題は後二者の診断基準を前立腺圧出液(以下EPS)中の白血球数の多寡におき,非細菌性CPを感染症ないし炎症と捉えている点である。これが非細菌性CPの病態の把握と治療の選択を混乱させているのではないか。
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