増刊号特集 泌尿器科手術における合併症管理のすべて
Ⅱ.術式別にみた術中・術後合併症の管理
D.開腹的手術
3.腎の手術
腎尿管全摘除術
布施 秀樹
1
,
奥村 昌央
1
Hideki Fuse
1
1富山医科薬科大学泌尿器科
pp.104-107
発行日 2001年3月30日
Published Date 2001/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413903195
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1 はじめに
腎尿管全摘除術は腎孟および尿管腫瘍に対する標準的な手術法であり,Gerota筋膜内の脂肪組織とともに腎,尿管を剥離し,尿管膀胱接合部の膀胱壁をcuff状に切除する術式である。尿管腫瘍が膀胱に浸潤している場合には,膀胱部分切除術が必要となる。腎,尿管への到達法としては経腹的と後腹膜的の2つの到達法があるが,根治性を高める場合には経腹的到達法で行い,リンパ節郭清を行う1)。その郭清範囲については,必ずしも統一した見解はないが,表1に腎孟および上部尿管腫瘍,中部尿管腫瘍,下部尿管腫瘍における郭清部位を示した。高齢者やハイリスクの症例は後腹膜的に行う。本手術は必ずしも侵襲の小さい術式ではなく,それゆえ術中,さらには術後にさまざまな合併症が発生しうる。
本稿では,これら合併症についてそれを防止するための対策およびその処置法について述べる。
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