増刊号特集 泌尿器科手術における合併症管理のすべて
Ⅱ.術式別にみた術中・術後合併症の管理
D.開腹的手術
3.腎の手術
腎部分切除術
大園 誠一郎
1
Seiichiro Ozono
1
1奈良県立医科大学泌尿器科
pp.108-111
発行日 2001年3月30日
Published Date 2001/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413903196
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1 はじめに
腎部分切除術は,従来,先天性腎奇形,腎結石,腎外傷などに適応があったが,最近の趨勢として,ほとんどが腎腫瘍を対象として行われている。しかし,腎細胞癌に対する腎部分切除術は,その根治性に関しての是非が問われており,未だコンセンサスは得られていない。現時点において諸家の報告をみる限り,腫瘍径が小さい単発腫瘍の症例に対しては,根治的腎摘除術と遜色のない成績である。最近,患者のQOLを重視したless invasive surgeryが推奨されており,今後このコンセプトに基づいたnephron sparing surgeryがますます増加することが予想される。
本稿では,腎部分切除術の合併症について解説する。本合併症は,発生部位に準じて血管系,腎実質系,尿路系およびその他の一般全身系に分類されるが(図1),これらを発生時期別に術中・術後(急性期および晩期)に分けて概説し,さらに合併症を少なくするわれわれの新しい術式についても述べる。
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