増刊号特集 膀胱全摘除術と尿路変向術のすべて
Ⅵ 術後管理と合併症対策
3.術中合併症とその対策
血管損傷とその対策
上田 公介
1
,
郡 健二郎
1
Kosuke Ueda
1
1名古屋市立大学医学部泌尿器科
pp.255-261
発行日 1998年3月30日
Published Date 1998/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902299
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はじめに
膀胱全摘除術に際しては,できるだけ出血量を少なく,また手術時間を短縮する工夫が重要である。このことが,引き続いて行われる尿路変向術(最近は自然排尿型代用膀胱作製術が多くなった)を容易にするだけではなく,術後合併症を少なくし,術後の回復を早めることになり,また結果的に手術時間の短縮につながる。
術中の出血量に関しては,ほとんどが膀胱全摘除術に由来するものであり,代用膀胱作製に関する出血は少ない1)。膀胱全摘除術における総出血量は術者の技量に深く関係するが,一般的には1,000〜2,000mlであると考えられる1)。筆者らは,術中の出血量が1,000mlを越えれば普通の技量であり,500〜1,000mlが上級の技量,500ml以下であれば相当技量が上であると考え,それを達成すべく術式の改良を加えてきた2)。誰にでもできる簡単な手術手技,すなわち血管損傷を防ぐための血管処理を行えば,手術視野がわかりやすくなり,手術操作が簡単となる。
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