画像診断
立位により誘発された間欠性水腎症
舛森 直哉
1,2
,
国島 康晴
1
,
門野 雅夫
1
1済生会小樽北生病院泌尿器科
2現 札幌医科大学泌尿器科
キーワード:
水腎症
Keyword:
水腎症
pp.861-864
発行日 1997年10月20日
Published Date 1997/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902170
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患者 50歳。男性。
主訴 左側腹部違和感。
既往歴 特記すべきことなし。
現病歴 幼少時より時々左側腹部の違和感を自覚するも,自然に軽快するため放置していた。健診の超音波検査にて左水腎症を指摘され当科受診となった。排泄性尿路造影上,左腎盂の軽度の拡張と腎盂内陰影欠損を認めたため(図1),X線陰性結石あるいは腎盂腫瘍の疑いで入院となった。
検査所見 尿沈渣では異常を認めず、尿細胞診もclass Iであった。
臨床経過 CTでは左腎盂内に明らかな異常を認めなかった(図2)。逆行性腎盂撮影でも左腎盂内に陰影欠損を認めなかったが,外来での排泄性尿路造影とは明らかに異なる高度の水腎を認めた(図3)。立位での排泄性尿路造影では左水腎および左腎盂内陰影欠損を示したが(図4),仰臥位への体位変換により水腎の程度は軽減した(図5)。以上より,立位により誘発される間欠性水腎症と診断した。陰影欠損は,腎盂壁がたるんだ際に形成される"ひだ"によるものと推測された。利尿負荷レノグラム上,左腎のT1/2は12分と境界型を示したが(図6),症状が乏しいこともあり経過観察となった。
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