増刊号特集 術者からみた局所解剖
Ⅲ 男性尿道・陰茎および腹壁の局所解剖
1.男性尿道・陰茎
尿道下裂修復術
林 祐太郎
1
,
最上 美保子
1
,
小島 祥敬
1
Yutaro Hayashi
1
1名古屋市立大学医学部泌尿器科
pp.133-137
発行日 1997年4月30日
Published Date 1997/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902043
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尿道下裂は外尿道口が亀頭先端ではなく,陰茎腹側に開口した状態をいい,尿道口よりも遠位の尿道,および尿道海綿体が正常に形成されずに索状組織として遺残するため,陰茎は腹側に屈曲した状態となる。
尿道下裂の修復術には索切除術と尿道形成術を段階を踏んで施行する二期的手術と,これらを同時に行う一期的手術がある。いずれを施行するにせよ,索組織を完全に摘除して陰茎の屈曲を解消することと陰茎背側包皮をいかに効率よく新尿道の作成に用いるかということが手術成功のためのポイントであり,目的を達成するためには尿道下裂の解剖を十分把握しておかなければならない。本疾患は胎児期の性分化の段階の異常の一つのため,陰茎,尿道の正常解剖と異なる。したがって手術手技を図示しながら,局所の異常解剖を示していきたい。
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