画像診断
交通外傷を契機に発見された腎捻転
森田 照男
1
,
北村 愼治
1
,
深谷 俊郎
1
1市立岸和田市民病院泌尿器科
キーワード:
腎奇形
,
腎疝痛
Keyword:
腎奇形
,
腎疝痛
pp.431-433
発行日 1996年5月20日
Published Date 1996/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901824
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患者 45歳女性。
主訴 肉眼的血尿。
既往歴 特記事項なし。
現病歴 1993年10月1日,交通事故で右胸部,左頬部を打撲して当院整形外科を救急受診した。受診時,肉眼的血尿に気づかれ,当科へ紹介された。
現症 右側胸部の圧痛と左頬部皮下出血を認めた。右腎は触知可能で表面は平滑,圧痛は認めなかった。
検査成績 検血で白血球増多を認めたほか,異常はなかった。
臨床経過 緊急で腹部造影CTおよびDIPを撮影した。CT上,明らかな腎損傷はみられなかったが,右腎はその長軸が腹壁および背に接するように偏位していた(図1)。DIP像では腎盂尿管移行部が右腎盂より高位にある(図2)ことから,右腎は腎茎部を中心に後方に回転した腎捻転の状態にあると考えられた。右腎挫傷の診断で入院の上、保存的に治療を行ったところ,2日目には肉眼的血尿は消失した。6日目の造影CTおよびDIPで右腎が通常の位置に復帰しているのが確認された(図3・4)。腎外傷後であり,また偶然,左腎に腎血管筋脂肪腫が認められたため,退院後も経過観察を続けていた。1995年2月,突然に右側腹部痛を訴え,当科を救急受診した。緊急のDIP像では,受傷直後と同様,腎盂尿管移行部が右腎盂より高位にあり(図5),造影CT像でも右腎の捻転がみられた(図6)。鎮痛剤を投与し,経過観察することで,腎は通常の状態に復帰し、柊痛は消失した。
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