増刊号特集 前立腺疾患'96
前立腺結石・前立腺炎
細菌性前立腺炎の薬効評価基準
荒川 創一
1
Soichi Arakawa
1
1神戸大学医学部泌尿器科
キーワード:
前立腺炎
,
薬効評価
Keyword:
前立腺炎
,
薬効評価
pp.234-237
発行日 1996年3月30日
Published Date 1996/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901772
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はじめに
細菌性前立腺炎における薬効評価基準は,1989年に作成され1) UTI薬効評価基準第3版追補に収録されている。本基準は,新薬の臨床評価に用いられるとともに,「細菌性」前立腺炎に一定の定義を与えたものとしての意義を有している。本邦における尿路性器感染症の薬効評価基準としては,UTI研究会の手になるUTI薬効評価基準2)が標準的に用いられている。本基準は,現在日本化学療法学会に設けられた小委員会において,改定の準備が進められているが,現時点の本基準(第3版)では評価のエンドポイントは疾患の治癒ではなく,薬効におかれている。同じUTI研究会を母体として策定された細菌性前立腺炎における薬効評価基準も,同様に薬効をエンドポイントとしている。具体的には,急性前立腺炎は投与7日目,慢性前立腺炎は14日目が主たる評価日と規定されている。これら両疾患が細菌感染として起こっている場合,治癒効果に至るには,経験的に言ってそれぞれ上記の2倍の投薬期間が必要である。したがって,この評価基準にある評価日をそのまま一般臨床の場に適用するとすれば,抗菌薬の初期治療(empiric therapy)の効果のチェックという意味になる。急性前立腺炎で投薬3日目に症状に対する効果の確認を義務づけているのも,まさにその意味においてである。
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