学会印象記
第89回米国泌尿器科学会(AUA)
大堀 理
1
1北里大学泌尿器科
pp.708-709
発行日 1994年8月20日
Published Date 1994/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901282
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第89回米国泌尿器科学会総会は5月14〜19日,サンフランシスコ市で開催された。サンフランシスコは言うまでもなく風光明媚な所で,しかもありとあらゆる種類の料理が楽しめ米国人にも一番人気の街である。しかし,建物の陰に横たわる多くの浮浪者達に驚いたのは私だけではないだろう。また,ロスアンゼルス程ではないと思うがサンフランシスコも,一つ通りを間違えば安全の保証のない普通の米国の大都市である。とは言ってもテキサスという田舎に4年も住んだ私にとっては魅力的な街で,一番嬉しいのは安くてうまい"すし屋"や"うどん屋"が簡単に見つけられることであった。
さて昨年に引き続き,前立腺癌の臨床の話題を中心に私の印象を述べていきたい。私が米国にいた4年の短い間だけでも前立腺癌の診断における変化は目覚ましく,その概念も劇的に変わった。1990年当初は前立腺生検の対象は直腸診や超音波で異常が認められた患者が多く,超音波上hypoechoicにみられる領域を丹念に生検していた。しかし最近では直腸診で正常だが血清PSAが軽度〜中等度高値を示すために systematicrandom生検を受ける患者の増加が著しい。実際,ベイラー医科大学の泌尿器科の外来では毎日少なくとも10件の生検を施行しており,そのうち5〜7割はsystematic random生検である。
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