学会印象記
第89回米国泌尿器科学会(AUA)
清田 浩
1,2
,
伊藤 貴章
3
,
塚本 泰司
4
1東京慈恵会医科大学泌尿器科教室
2現 富士市立中央病院泌尿器科
3カリフォルニア大学サンディエゴ
4札幌医科大学泌尿器科学教室
pp.619-621
発行日 1994年7月20日
Published Date 1994/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901263
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去る5月14日から6日間,米国サンフランシスコで行われた第89回AUAに参加する機会を得た。米国のみならず,日本からの約140名をはじめとして,世界各国からも多くの泌尿器科医が参加した。学会は5月14日と15日に80から成る教育プログラムと卒後プログラムが用意され,5月15日から特別講演,パネルディスカッション,そして約1,200の一般演題が10余りの会場に別れて行われた。私は5月14日に現地入りし,17日に自身の発表があり,すぐに帰国しなければならないという制約があったので,前立腺癌の早期診断,前立腺肥大症のレーザー治療などを中心に聞いた。
前立腺癌は,米国男性の癌死の上位を占め,依然として増加傾向にある。そして,その腫瘍マーカーであるPSAが世界的に普及していること,また,より感度の高い測定キットが普及しつつあることから,早期の前立腺癌の診断あるいは前立腺全摘後の再発を早期に発見するための有力な武器となっており,ここ数年本学会のトピックスを独占しているといっても過言ではない。今回はPSAを中心とした診断に関する目新しい報告はなかったようであるが,米国における医療費の増大と,それに対するクリントン大統領の医療保健制度を背景としたためか,前立腺癌の診断と治療をめぐる医療経済効率に関する報告が多く,私はとくに16日に行われた"To treat or not totreat"というパネルディスカッションを興味深く聞いた。
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