増刊号特集 泌尿器科治療薬マニュアル—私の処方箋
疾患別薬剤投与プロトコール
尿路結石
尿路結石と漢方
井口 正典
1
1市立貝塚病院泌尿器科
pp.216-217
発行日 1993年3月30日
Published Date 1993/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413900917
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本邦における尿路結石症の発生頻度は第2次世界大戦後急増しており,今日では昭和20年代初めの約3倍に達している。1985年に行われた全国380病院の集計による尿路結石症に関する第4回全国調査によると,5.4%の国民が一生涯のうちに一度は尿路結石に罹患すると予側されている。また著者が1992年に市の協力を得て行った貝塚市の尿路結石症に関する疫学調査でも,男性で14%以上,女性で7%以上,全体で10%以上の市民が一生涯のうちに一度は尿路結石に罹患するという結果が得られている。このように尿路結石症は現代の社会でも増加傾向にある文明病的性格を持つ疾患である。戦後本邦で尿路結石症が急増した主な原因は,肉食を中心とした食生活の欧米化であり,欧米と同様に上部尿路結石症が全尿路結石症の95%を占める。漢方医学では,尿路結石症は"砂淋","石淋","血淋"の範疇に属するが,主に下部尿路結石の症状を指しているものと推察される。
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