昨日の患者
老人の「性」
大川 光央
pp.135
発行日 1993年3月30日
Published Date 1993/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413900875
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我が国は,いまや高齢化社会に突入し,今後ますます人口の高齢化率の上昇は著しくなるものと予想されている。これら高齢者に如何に生き甲斐を持たせ,生活の質(Quality of Life)を向上させていくかについて,医療の面からも問われる時期にきている。
泌尿器科医は,高齢患者を診察,治療する機会が多いことから,老人泌尿器科研究会なども開催されるようになった。高齢化社会の医学的三大課題といわれるものに,「痴呆」,「失禁」および「転倒」があげられているが,これらのうち泌尿器科医にとって最大の関心事は,当然のことながら尿失禁ということになる。尿失禁以外にも泌尿器科医が関心を示すべきこととして老人の「性」の問題があげられよう。健康で長生きできるようになれば,性機能も正常に保ちたいと思うのが自然であろうが,我が国ではあまり問題視されることはなかった。私自身,米国留学中,penile prothesis,移植手術件数の多さに驚くとともに,70歳台の老人が手術台の上から「うまくやってくれよ!」と叫んでいるのを見て,文化の違いのようなものを感じたのも事実である。
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