交見室
尿路ウイルス感染と拒絶反応を合併した骨移植症例を読んで,他
遠藤 忠雄
1
1北里大学
pp.170-172
発行日 1992年2月20日
Published Date 1992/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413900541
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本誌45巻9号に掲載された林雅道先生の標記の論文を拝見致しました.林先生は「死体腎移植後に見られたサイトメガロウイルス性食道炎の1例」(移植25:307-311,1990)という移植後のウイルス性感染症の論文も書かれておられます.
さて私が,腎移植に携わるようになったのは1970年からですが,その乏しい経験からみても移植後の感染症には変遷があります.これは免疫抑制剤の変遷,すなわちazathioprine(Az)からcyclosporin(CyA)へと変わったことにも大いに関係があるように思います.Azの時代の感染症は細菌感染,真菌感染,あるいはpneumocystis cariniiによる感染が主流でしたが,CyAの時代になってウイルス感染が非常にクローズアップされたように思います.これは移植後の術後管理や免疫抑制剤の使い方が上手になったということもありますが,CyAの時代になり,ステロイドの減量,Azに多い骨髄機能低下が少なくなったことも関連していると思えます.
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