交見室
薬剤のプラセボ効果について,他
赤座 英之
1
1筑波大学
pp.720-722
発行日 1991年8月20日
Published Date 1991/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413900427
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湾岸戦争が勃発して間もない1月の中旬,米国ワシントンDCで催された前立腺肥大症に関するワークショップに出席したが,朝食の席で個人的に聞いた米国のW教授の言葉が印象的であった.
前立腺肥大症に対する内服療法剤の効果は多分にプラセボ効果が含まれ,本当のところ,二重盲検法によるプラセボを対照とした試験でなければ確実でないというのである.即ち,患者の不定愁訴をはじめ残尿感,排尿困難はもちろんのこと,患者の慣れによる尿流量試験結果の改善,または試験者が治療して効果があるはずであるとの見込みから生ずる前立腺計測結果まで広い意味でのプラセボ効果が存在するというのである.そして,日本にはherbという適切なプラセボがあるではないかと言うのである.これは,明らかに漢方薬剤やある種の植物エキスからなる薬剤を指している.
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