増刊号特集 泌尿器科処方のすべて─すぐに使える実践ガイド
4 尿路結石症
カルシウム結石
柑本 康夫
1
1和歌山県立医科大学泌尿器科
pp.87-90
発行日 2016年4月5日
Published Date 2016/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413205602
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疾患の概要
尿路結石の90%以上はカルシウム結石であり,ほとんどはシュウ酸カルシウム結石が主成分である.その形成過程は,尿中でシュウ酸カルシウムが過飽和状態となると結晶核が形成され,これが成長・凝集し,さらに有機物質も取り込みながら結石形成に至ると考えられている.カルシウム結石の主な成因は,こうした結石形成過程を促進あるいは抑制する物質の尿中排泄量の多寡によるものであり,高カルシウム尿(症),高シュウ酸尿(症),高尿酸尿,低クエン酸尿,低マグネシウム尿などの病態(疾患)が挙げられる.また,シュウ酸カルシウム結石では原発性高シュウ酸尿症や腸性高シュウ酸尿症,リン酸カルシウム結石では原発性副甲状腺機能亢進症,腎尿細管性アシドーシスなどの基礎疾患がみられることもある.ESWLや内視鏡手術の発展により結石の除去は容易になったが,結石形成の原因となっている病態・疾患が改善されない限り再発は避けられず,カルシウム結石の5年再発率は約45%とされている.
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