増刊号特集 泌尿器科処方のすべて─すぐに使える実践ガイド
4 尿路結石症
尿路結石による疼痛発作
柑本 康夫
1
1和歌山県立医科大学泌尿器科
pp.84-86
発行日 2016年4月5日
Published Date 2016/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413205601
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疾患の概要
腎臓内の結石は症状のないことが多いが,結石が腎盂尿管移行部や尿管に下降し嵌頓すると,疼痛発作を来す.腎盂尿管移行部から上部尿管では側腹部から背部に疼痛を生じ,中部から下部尿管では下腹部痛や外陰部への放散痛を伴うこともある.疼痛発作の機序は,尿路の急激な閉塞による腎盂内圧の上昇および腎被膜の過伸展,結石による尿管粘膜の損傷および尿管攣縮によるとされている.この疼痛は激烈なものであり,数時間から半日程度持続し,いったん消失しても繰り返し発作を起こすこともある.また,腎被膜と腸管は共通の内臓神経に支配されているため,尿路結石の疼痛発作に嘔気や嘔吐を伴うこともある.このため,消化器疾患との鑑別が重要であるが,尿路結石では強い疼痛にもかかわらず,腹膜刺激症状がみられないのが特徴的である.
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