Urological Letter・428
馬が診断をつけていた
pp.607
発行日 1987年7月20日
Published Date 1987/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413204530
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何年か前のことだが,診療室でいつものように忙しい一日を終えようとしている時,病院救急室から呼び出し電話がかかつてきた。1人の患者が肉眼的血尿で収容されたのである。この患者は,地方の繋駕競馬場(localharness racing track)で働いていた時,右上腹部を激しく蹴られたのである。診ると右上腹部に逆の形で馬蹄鉄の跡が歴然としていた。血圧,ヘモグロビン,ヘマトクリットなどは正常範囲内であつた。排泄性腎盂像を撮つたところ,右腎は大きな血腫のためにぼんやりしていて,その機能は正確にはわからなかつた。左腎は大体正常な機能があつたが,腎杯がいくらか回転しており,馬蹄鉄腎である可能性が疑われた。
ヘモグロビンやヘマトクリットが下り始めたので,急いで手術的処置をする必要があると決定した。
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