映画の時間
—昔々,馬は人の翼だった—馬を放つ
桜山 豊夫
pp.257
発行日 2018年3月15日
Published Date 2018/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208860
- 有料閲覧
- 文献概要
夜,厩舎の番をしている警備員がトイレに入ると,不審な男が外から鍵をかけ,彼を閉じ込めます.騒ぎに気付いた他の警備員も家に閉じ込められ,男は厩舎から一頭の馬を連れ出します.男は鞍も付けずに馬に跨り,両手を天に向かって広げ荒野に向かいます…….なんとも奇妙なファーストシーンに驚きますが,物語が進行するにつれ,この場面がこの映画の主題にも関わる象徴的なシーンであることが分かってきます.
翌朝,この厩舎のオーナーであるカラバイは,高価な競走馬が盗まれたことに怒りを爆発させます.警察は窃盗の前科のあるサディルの身柄を確保して,なぜかカラバイの家に連行し,カラバイ自らがサディルを問い詰めます.舞台であるキルギスの司法制度はよく分かりませんが,カラバイは集落の有力者であるようです.
Copyright © 2018, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.