交見室
インポテンスの定義と分類について
熊本 悦明
1
1札幌医大泌尿器科
pp.1046
発行日 1985年12月20日
Published Date 1985/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413204195
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"性"は"食"と共に生物の生命の永遠性を保持するための車の両輪の様なものである。ところが何故か人類文化史の流れの中で,その並列であるべき2つの輪の扱われ方に大きな差がついてしまつている。"食"は表舞台に出されて堂々たる立役者に仕立てられているのに,"性"は舞台裏に押込まれて裏方にされてしまつている。
医学の世界でも,性はかなりタブー視され,生殖については一応は取上げられてはいたが,その前段階である性的能力・性行動となると,長い間まつたく目も向けられないでいた。言うならば,裏方に関しても,下座音楽の音色や舞台装置の出来具合位には一応の関心は示されてはいたものの,それを作り上げる技術などには,客席にあぐらをかく高尚な演出家の問題ではなかつた訳である。しかし,それが思う様な出来にならなければ,言い換えれば裏方の支えがなければ,舞台は成り立たないのと同様に,性的能力・性行動あっての生命の誕生であり,それから人間の医学が出発する訳である。
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