交見室
慢性腎不全患者の固有腎にみられるacquired cystと癌の合併について/尿道留置カテーテルの管理について
津川 龍三
1
,
中野 博
2
1金沢医科大学泌尿器科
2広島大学泌尿器科
pp.572-573
発行日 1983年6月20日
Published Date 1983/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203603
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本誌37巻4号の山田先生らによる「慢性腎不全に合併した悪性腫瘍の3例」をきわめて興味深く拝見した。症例1として記載された43歳女性例がそれである。このような例はわが国ではわれわれのグループが発表したのが最初で(北田ら:日腎誌,21;1145〜1155,1979),その後主として診断については石川,北田,病理学的事項については小西が発表している。当科は1978年12月の第1例から計5例のacquired cy-stic disease of the kidney (以下ACDKと略)の腎摘除を担当したが,うち4例は腎癌を合併していた(沼田ら:臨泌,36;557〜561,1982)。
石川らによるとACDKそのものは透析導入後3年を境に増加するようだと述べている。一方,腎癌合併例は透析歴6〜8年にみられたが,これはCTで系統的に多数例を検索できるようになつてからの発見例であり,透析導入前から慎重に観察すればさらに本症の実態がわかると思う。山田先生の例は4年8ヵ月目で固有腎の定期的精密検査で発見されたところに大きな価値があり敬意を表したい。
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