交見室
経尿道的膀胱腫瘍切除術における閉鎖神経ブロックの有用性について/胸骨転移を主訴とした前立腺癌について
小柳 知彦
1
1北海道大学泌尿器科
pp.390-391
発行日 1982年4月20日
Published Date 1982/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203340
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本誌36巻2号の永田先生らの論文読ませていただきました。近年経尿道的切除術(TUR)は本邦でも広く多用されつつあるだけに本術式に関する技術的な事項や,各人の工夫とかこつ,あるいは種々の合併症とその対策,術後成績などをお互いに情報交換し合うことは有意義で得るところが多いものと思われます。閉鎖神経刺激による大腿内転筋群収縮も頻度はさほどではありませんが,確かに手術を困難にする要因で,間違えば膀胱穿孔,出血などの危険も伴うだけにその対策に関する論文は本邦ではあまり見られなかつたことと併せ大いに歓迎されて然るべきと思われました。編集室の依頼でもありますので二,三気のついたことだけを述べさせて貰います。
われわれの経験では内転筋収縮が強いために閉鎖神経ブロックを併用せざるを得なかつた例や,TURを断念せざるを得なかつたものは幸いありませんでした。Creevy (文献6)も述べているように,閉鎖神経の走行に個人差が著しいこともその理由の一つかも知れません。またわれわれは内転筋収縮が予測されるような側壁の切除に際しては最初から反対側の大腿部に術者の頭を接するか,あるいは大腿が内転しても切除鏡がその反動で飛ばされ,これによつて切除ループあるいはシースの先端が膀胱壁にぶつかることのないような姿勢と切除鏡の保持をするように心がけています。
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