Japanese
English
綜説
小児期の血尿の臨床
Clinical Aspects of Hematuria in Childhood
北川 照男
1
,
平林 和夫
1
,
稲見 誠
1
,
栖原 優
1
,
内藤 茂樹
1
,
高橋 昌利
1
Teruo Kitagawa
1
1日本大学医学部小児科学教室
1Department of Pediatrics, Nihon University School of Medicine
pp.203-213
発行日 1982年3月20日
Published Date 1982/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203306
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はじめに
1973年度から学校保健法施行規則の一部が改正されて,学校における児童・生徒の定期健診の項目として新しく尿の検査がつけ加えられた。
腎臓病は,呼吸器・心臓疾患とともに小児期の代表的な慢性疾患の一つであり,最近のわれわれの調査1)によれば,医療費の公費負担をうけている患者数は,年間に約11,600名とされている。また,小・中学校の疾病による長期欠席者(50日以上)46,000名中腎臓病によるものは約7,000名であり,その疾患別頻度では第一位を占めている2)。
このように,児童・生徒の長期欠席の原因として,最も多い腎臓病を早期に発見して早期に治療し,その慢性化,重症化を予防しようというのが集団検尿の目的である。そして,その結果として多数の無症候性血尿の児童・生徒が発見されている。このように,健康な,あるいは健康と思われる児童・生徒において,たまたま発見されるいわゆる血尿はどんな腎疾患によるものが多いのか,また,血尿を呈する小児の年齢別頻度はどのようなものであろうか。このような血尿の一部には,泌尿器科的腎疾患や内科的腎疾患などが含まれ,泌尿器科的腎疾患が否定された症例に腎生検を行つてみると,いろいろな病型の慢性腎炎の組織像が認められる3)。
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