症例検討
右側腹部有痛性腫瘤の診断をめぐつて—第5回東大分院泌尿器科臨床検討会より,1975年5月9日,於東大分院臨床講堂
横山 正夫
1
,
岩動 孝一郎
1
,
東京大学医学部泌尿器科教室
1東大分院泌尿器科外来
pp.735-741
発行日 1975年9月20日
Published Date 1975/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202030
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司会 それではカンファランスをはじめます。阿曽助教授米国出張中のため私が司会をいたします。最初に術前の腹部腫瘤の症例を受持の中村君より提示していただきます。
中村昌平(分院助手) 症例は61歳の男子で,当科受診の主訴は右睾丸の疼痛と腫脹です。しかし,よく話しをきいてみると血尿,右側腹部痛があつたという症例です。既往歴,家族歴に特記すべきことはありませんが,兄弟に肺結核で死亡した方が多いそうです。これまで大きな病気を知らず元気に働いていた方ですが,49年11月に肉眼的血尿が1回あり,頻尿,排尿痛もありました。その後間もなく右睾丸にふれると痛みを感じ,しだいに大きくなつてきた,といいます。これは初診時には鶏卵大になつていました。近くの診療所を受診し,泌尿器科受診をすすめられたのですが放置していたところ,今年の3月になつて血尿が1回だけありました。その後,飲酒した際,右下腹部が痛くて歩けないということもあつたそうです。1975年4月18日当科初診で,主訴は陰嚢内容の腫脹ですが,理学的所見で腹部に腫瘤を触知しましたので,IVP,DIPなどが行なわれ,右の水腎症は間違いなくあるだろうということで5月1日に入院しました。
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