文献抄録
尿管膀胱移植症例の検討/孤立性腎嚢胞100例の臨床的観察
pp.967
発行日 1968年12月20日
Published Date 1968/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413200546
- 有料閲覧
- 文献概要
著者等は1954年より66年の8年間に140症について245尿管の膀胱再移植を施行し,その成績について考察を加えた。症例について逆流の原因を分類して見ると(Ⅰ)尿管膀胱接合部および三角部の一次的障害によるもの115例(Ⅱ)尿道内狭窄が原因となっていたもの3例(Ⅲ)先天性疾患例,これは重複尿管,尿管瘤,開口異常等14例(Ⅳ)逆流はないが術後逆流の予想されるもの5例(Ⅴ)その他3例の計140症例である。性別では女性99,男性41で男女比は2:50年令では生後6カ月から63才で平均12才となっている。手術方法およびその治療成績は第1表のとおりである。
この成績から見るとPolitano-Leadbetterの手術方法が最良の結果を得ている。失敗例についてa逆流再発b狭窄発生の2点があげられるが,手術によって逆流の防止をし得なかつた尿管は10.2%に見られた。これ等の症例は臨床症状は非常に改善された。また第2,第3の手術を必要とすることがあるので第1次の手術は極力膀胱内手術法を撰ぶことが望ましい。次に尿管移植部の狭窄は10尿管(8症例内両側2例)に見られた。これ等は尿路変更,腎剔,腎瘻,再移植法等を施行した。狭窄防止には粘膜にて移植尿管を被覆することが大事である。次に術後のレ線検査では逆流防止成功例では腎盂腎炎の所見はいずれも改善されており,尿管の拡張所見においても術後の改善は著明であつた。
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.