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Ⅰ.緒言
尿管瘤は尿管下端部が嚢腫状に拡張して膀胱内に突出する先天性奇型の1つであり,重複尿管等の奇型を合併することが多い。本症は尿管口が狭小であるために嚢腫の収縮により上部より送られた尿を完全に膀胱内に排出することができず,次第に尿の貯留が増加するので瘤の増大,上部尿路の拡張,感染,結石形成等の2次的合併症をきたしやすく,遂には腎機能低下を招来することが多い。したがつて幼小児期にこれを発見し,適切な治療を施すことが大切である。
本症は1853年Lechlerが剖検により認めたのを最初とし,その後内外文献に多数の報告例が見られるが,本邦においては欧米に比較して幼小時期の発見例が極めて少なく,高井1)によれば,1963年初期までに集めた113例の本症患者のうち15才以下の者は,自験例1例を含めて11例(9.7%)であつたといい,その後石部2)等は1967年5月までに4例を集め,自験例2例を含めての計17例についての臨床的考察を試みている。我々は最近4才7月,女子の左尿管瘤例を経験したので,その症例報告を行なうと共に1967年9月までに集め得た全症例147例の統計と自験例1例を含めた本邦小児尿管瘤20例について観察を試みた(第1表)。
Ureterocele is a type of congenital anomaly and supposed to be evident at birth, but very few of the cases reported are below 15 of age in the domestic literature and only 20 cases (13.6%) including our case were below 15 of the 177 cases reported in the Japanese literature till September 1967.
A case of left ureterocele in a 4 years and 7 months old girl was reported and the 20 cases collected from the Japanese literature was reviewed and discussed.
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