特集 泌尿器科診療ベストNAVI
Ⅱ 疾患・病態の診療
1 先天性疾患および小児泌尿器科疾患
腎および腎盂の先天異常
026 先天性水腎症
本間 澄恵
1
1千葉県こども病院泌尿器科
pp.81-83
発行日 2013年4月5日
Published Date 2013/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413103095
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
1 概念・病因
狭義の先天性水腎症とは腎盂尿管移行部の先天的な機能的通過障害により腎盂腎杯が拡張したものを指す。すなわち先天性腎盂尿管移行部通過障害である1)。病因としては,ほとんどが腎盂尿管移行部の形成異常(筋束の発達不全や方向性の異常などで尿の輸送が障害される)とされるが,異常血管による圧迫や良性ポリープによる閉塞も時々経験する。また,通過障害により腎盂が拡張するとさらに尿管の屈曲や癒着が増悪し閉塞を増強させる。年齢に伴い軽快する症例もみられ,胎児診断でみつかった先天性水腎症の50%は手術不要で消失するとされる2)。しかし感染などを契機に突然悪化する症例も散見するので,病因の1つには尿管の屈曲や癒着による閉塞の増悪も考慮すべきであろう。
広義の先天性水腎症には膀胱尿管移行部通過障害(巨大尿管)や中部尿管通過障害も含める場合がある。
Copyright © 2013, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.