特集 分子標的薬時代開幕5年目を迎えた進行腎癌の治療戦略の現状と展望
企画にあたって
矢尾 正祐
1
1横浜市立大学大学院医学研究科泌尿器分子遺伝学
pp.11
発行日 2013年1月20日
Published Date 2013/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102991
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進行性・転移性の腎癌治療に対して,2008年に2種類の血管新生阻害薬,「ソラフェニブ」,「スニチニブ」が本邦でも臨床導入され,分子標的薬時代の幕が切って落とされた。その後mTOR阻害薬2剤,さらにごく最近ではアキシチニブも使用可能となったが,またたくまにこの4年が過ぎ去ったという感がある。
導入当初は欧米からさまざまな先行情報が流れ込み,多少の混乱がみられたものの,本邦の腎癌患者にこれらの薬剤を使用してみると,効果,副作用,あるいはその手ごたえといった点でかなり異なっていたというのが偽らざる実感であろう。本邦患者に対するこの間の臨床経験で,先行する4剤の個々の使いこなしは現在おおむね軌道に乗ってきたと考えられるが,次の展開として,サイトカイン時代と比べてはるかに複雑となった腎癌の集学的治療の全体構図の中で,これらにどのように組み込み,個々の患者さんに最適,最良の治療を施すことができるかという点でさまざまな課題とともに,新しいアイデアや工夫も生まれつつある。
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