書評
「ソーリー・ワークス!―医療紛争をなくすための共感の表明・情報開示・謝罪プログラム」―ダグ・ヴォイチェサック,ジェームズ・W・サクストン,マギー・M・フィンケルスティーン 著/前田正一 監訳/児玉 聡,高島響子 翻訳
永井 裕之
pp.643-644
発行日 2012年8月20日
Published Date 2012/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102872
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妻は関節リウマチが悪化し,炎症があった左手中指の関節滑膜除去手術を受けた。簡単な手術は成功したが,その翌日(1999年2月11日),点滴後の処置において消毒薬を間違って注入されて急死した。なぜ? 何があったの? 死因は何なの?…などなど,病院の説明対応に不信感が募っていった。その時点で,「医療紛争」にする気もなかったし,「医療紛争」になるとも思っていなかった。しかし,病院側の初期対応は医療事故・ミスにならないようにと,対応を始めていたことを後で知った。その対応は,「ソーリー・ワークス」ではまったくなかった。
本書は医療事故が過失(ミス)による場合の対応について,「医療紛争をなくすための共感の表明・情報開示・謝罪プログラム」の重要性を説明している。特に「第6章 患者とその家族にどうやって謝罪するか」は,思わぬ医療事故が発生し,さらに突然の死に至った家族に対する対応として「患者は不誠実さを敏感に察知します。誠実に振る舞ってください」,また「初期の反応は怒りや驚き,あるいは激怒であったりします」とし,「落ち着いて次のように答えてください」と,語りかけの言葉が記載されている。
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