書評
「栄養塾 症例で学ぶクリニカルパール」―大村健二 編集
鷲澤 尚宏
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1東邦大医療センター大森病院 栄養サポートチーム
pp.669
発行日 2010年8月20日
Published Date 2010/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102100
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1980年代には完全静脈栄養法(以下,TPN)が全盛であったが,90年代の終わりになると積極的な腸管利用が推奨されるようになった。TPNがあたかも悪い栄養法であるかのごとく評価されるという,米国栄養教育の内容が日本に入ってきた時代である。この結果,無理に経腸栄養を勧めたり,非現実的な経口摂取を叫んだりする状況が医療現場に作られてしまった。これは,医師の卒前教育が行われないままに応用医学が普及した結果である。
2006年の診療報酬改定で「栄養管理実施加算」が導入され,2010年からは「栄養サポートチーム(NST)加算」が始まった。これにより,栄養サポートチームの看護師や管理栄養士,薬剤師が,受け売りではなく,自ら栄養管理を立案する立場を得ることとなった。医師とコメディカルが栄養管理の方針を話し合うときには客観性のある判断が必要となるが,本書は多くの医療者らが疑問に感じていた部分に明快な解答を示してくれている。
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